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ボーダーライン

言葉は境界を作り出す。言葉が指すものと、そうでないものに世界を分割する。時に人は、「そうでないもの」にも名前を付ける。善と悪。真と偽。地上と地下。右翼と左翼。有機物と無機物。などなど。二項対立の誕生である。

言葉によって分かたれたあと、概念はその両極に向かって独り歩きを始める。その歩みを進めるのは、人間の意思だ。人間はなぜそんな意思を行うか?

まず最初に関心があり、情報を得る。面白いと思えば更に調べ、情報は知識となり、知識は理解となり、理解は身体化して血肉となる。

この過程で、人は自分の進む道、獲得しようとしている概念に愛着を抱きがちだ。特定の概念に愛着を抱くことは、反対概念の否定と隣合わせである。多くの場合人は、反対概念の否定という誘惑から逃れられない。

だから人は、自分の好む概念を肯定し、愛着し、正当化し、時に信仰する。反対概念については否定し、遠ざけ、時に憎悪する。この「信仰と憎悪」は激しい対立を生み出すことから、戦争をする理由の正当化と世論形成の手段として、為政者によく利用されてきた。

言葉が生み出すこうした現象は、古来より問題視され、解消する手段がいくつも提案されてきた。禅、中庸、止揚、エポケー、(キリスト教の)愛…これらのメソッドはそれぞれに説得力を持ちながらも、言語が二項対立を生み出すという「自然な」流れに抗おうとするものであることから、実践できている人はごく少数だ。

おまけに、それらのメソッドそのものが言語で語られており、愛着や信仰の対象になりがちであるという、とんでもない矛盾を含んでいる。これらの有用な教えを全人類が真に理解するような日は、未来永劫期待できそうもない。

とはいえこうした現象は、言語を獲得した人間の業とも言えるが、極めて豊潤で肯定すべき営みであるとも言える。知的活動は言語なしには成り立たない。混沌とした世界の中にあるパターンを見出し、言葉をあて、記憶し、記録し、他者や次世代に語り継ぐ。その言葉が持つ概念を突き詰める中で、今まで気づかなかった微細なパターンを更に見つけ、細分化していく。

世界を限りなく言語で単純化しつつ分類していくこと。それが知的行動の要諦だ。言語の指示作用による世界の分断は、知性とのトレードオフなのだ(とはいえ、言語を持たぬ動物が同種同士で争っているのを考えると、分断や闘争は生物にとってそもそも不可避なのだろうとも思う)。

さて、こうして容易に両極に分断する世界であるが、好奇心をフラットに持って眺めてみると、その両極ともにとても興味深い。当たり前だ、その一方を極めんとして、何人もの人々が人生を捧げる、そういうものなのだから。

では、実は一番面白いのは、そのボーダーライン上に立って、その両極をどちらも楽しむことなのではないか。そんなテーマで、しばらく活動をしてみたい。

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