スキップしてメイン コンテンツに移動

私記(中)

注意:このブログは、読者不在を心掛けつつ、白石俊平個人の私的な文章を面白くなく綴るものです。
----
前編からの続き)
価値観の相対化(というと大げさだが、要はあらゆる価値観は絶対的なものではない、と考える努力をするということだ)がもたらした新たな問題、それは、善悪の価値観つまり道徳をも相対化して無価値と断ずることによる享楽主義、そして万物は無価値であると切り捨てることによるニヒリズム…ではなかった。そこまで思想を先鋭化するには少し年を取り過ぎていたし、思想を論理的に研ぎ澄ますことを望んでいたわけでもなかったからだ。(もちろん、多少のモラル低下や虚無感はあったのだが)

ぼくを悩ませたのは、価値観の相対化に伴って生じる矛盾の存在だ。
人間が生きていくためには、価値観の存在が不可欠だ…ぼくはそのことを身をもって知った。日常のあらゆる選択に、価値観という物差しが必要とされる。それが単に「今から何を食べるか」などの軽微な価値判断ばかりならいいが、事業作りなどの、価値判断に一貫した連続性が求められるような状況では、どうしても、意思決定者の価値観に根ざした判断が(頻繁に)求められる。

そこで、ある程度価値観を固定させようと試みると、とたんに「それは過ちだ」という心の声が聞こえてくる。ニーチェの思想では、相対的な価値観の存在も許さなかったと言われるが、まさにその状態である。一貫した、固定化した価値観を心の中に持ち育てること、それがいずれ絶対的なものに育ってしまうことを恐れるあまり、価値感覚を抱いたそばから否定するという状態になってしまった。これは、新しい種類の良心の声である。「価値観を抱くことは罪である」という、新しい道徳から生まれた、新しい良心の咎め。道徳やドグマを否定する行為そのものが、新たな道徳とドグマを生み出してしまったのだ。これが、ぼくが直面した大きな矛盾であった。

とはいえ、繰り返すが、価値判断なくして人間は生きてはいけない。新しく生まれた良心に咎められながらも、毎日を生きていくしかなかった。結局前述の矛盾は、日々の暮らしを続けているうちに「自然と」解消されていったのである。何かドラスティックな発見や啓示を受けて、乗り越えられたわけではない。「時が解決した」というやつだ。

だが今なら、自分の心に何が起こり、矛盾を乗り越えられた…というか折り合いを付けた…のかは多少言語化できる。それについては後編に記すこととする。
後編に続く)

コメント

このブログの人気の投稿

目覚め

昨日、社員が初めて退職するという出来事を経て、1つの目覚めがあった。 経営者としての目覚めだ。 この目覚めを得るまで、非常に時間がかかってしまった。 ぼくに残された時間はあとどれくらいだろう? 間に合うと良いのだが。 詳細を省いて大局でものを考えること 従業員に対して、「あなたはかけがえのない人です」というメッセージを伝え続けること。 善なる意志を持って事業を組み立て、その最大限の拡大を図ること 最初の2つが今回得た目覚め。3番目はわかっていたつもりだったが、その重要性を再度確認した。 あとは実践あるのみ。全力で邁進するしかない。

「本好きの祭典」東京読書サミット#4を開催します!

今週土曜(7/6)、「 東京読書サミット 」というイベントを開催します📖 このイベントは今回で4回目。 毎回「本」と「本好きの人々」に囲まれた、幸せな空間を演出しております。 どんなイベントか? 今回で4回目ですので、だんだんイベントの「型」も定まってまいりました。 毎回こんな構成で行っております。 16:00-16:30 受付 16:30-16:35 はじめに 16:35-17:20 トークライブ 17:20-17:50 ビブリオトーナメント(予選) 17:50-18:00 10分間休憩 17:55-18:20 ビブリオトーナメント(決勝) 18:20-18:30 結果発表・写真撮影・終了 18:30-19:30 懇親会 ビブリオトーナメントとは? ビブリオトーナメントとは、参加者同士をつなぐために考案された 東京読書サミットの目玉企画 です。 このワークショップでは、まず参加者の皆さまをグループに分けたあと、グループ内で「わたしの大事な一冊」をテーマにプレゼン&ディスカッション。 その後投票を行い、一番「読んでみたい」と思わせる本の紹介をした方は、決勝プレゼンに進むことができます。 (決勝プレゼンと言っても、司会者との対談形式で進めますので、あがり症の方でも安心です) 決勝プレゼン後の投票で一位に選ばれたら、その方と、その方を輩出したグループの皆様にはちょっとした景品を贈呈いたします。 ちょっとしたゲーム要素があるおかげで、会話が盛り上がること、グループのメンバーと仲良くなれることは請け合いです😊 トークライブ トークライブは、ゲストが「わたしの大事な一冊」をテーマにして、縦横無尽に語り尽くします。 今回のゲストは(も)すごいです!今をときめく3名の女性著述家の皆様にお越しいただきます。 チェコ好き(トークライブゲスト) 旅と文学とついて書くコラムニスト・ブロガー。 ちょっと退廃的なカルチャーが好き。HNは大学院時代にチェコのシュルレアリスム映画の研究をしていたことから。 Twitter:  @aniram_czech 片瀬チヲル(トークライブゲスト) 『泡を叩き割る人魚は』で第55回群像新人文学賞優秀作受賞。 ソーシャルゲームのノベライズ化や、ゲームのシナリオなども手がけている。 Twitter:  c

白石は、経営者に転職しました

たまには自分の考えをまとめがてら、決意表明がてら、真面目な近況など。 弊社が運営してるテックフィードは、順調にDAUとか伸ばしてるものの、もっともっと勢いが欲しい。 何が足りないのか。考えた挙げ句、一番足りないのはぼくの経営スキルだと気付きました。 これまでエンジニア、ライター、エディター、コミュニティマネージャー、コピーライターなど色々やってきましたが、思えば真面目な会社経営というのは初めての経験。初心者です。 そこを深く反省し、経営に全力を投じられるよう、身辺整理を始めてます。バックオフィス兼秘書を雇い、なるべく開発から自分を遠ざけて、事業計画に時間を割こうとしています。コミュニティマネージャーを卒業するときに「0から1を生み出すことに人生を費やしていく」と、宣言してからもう5年。 「コンセプトメイカー」を名乗り、「関心で世界をつなぐ」という(企業)ミッションを打ち立て、いろんな企画ごとを作りまくった末に自分に足りなかった「経営」というスキルを今、全力で身につけたいと渇望しております。 これで経営もできるようになれば、より多くの、より面白いゼロイチが作れるようになるはず。ぼくに経営の才覚があるかはわかりませんが、精一杯頑張ります☺️ 白石は、経営者に転職しました!(今さらですが)